Five seconds ー恋が始まる5秒前ー
二
彼の家に行った日から数日。
「どうしたの?」
友達、と唯一呼べる彼女が私の視界に入り込んできた。
「何もない」
言いたいことはたくさんある。
でも誰かに言うことが怖かった。
彼はいつだったか、私に約束させた。
『僕のことを誰にも話してはいけないよ。話してしまったら、どうなるか僕も分からないけど、とにかくそれだけはダメなんだ』
珍しく強い口調でしつこく私を諭した。