Five seconds ー恋が始まる5秒前ー







「先生?こんにちは」




木曜日の午後四時頃、決まって私は彼の家に遊びに行く。


古い日本家屋のこの家は住宅街のはずれにあって、私以外に彼を訪れた人を見たことがない。



奥まった森の向こうにある切り立った崖の上に佇んでいるからか、人はこの家に近寄ろうとしない。




引き戸を思い切り開けた。


奥まで見渡せる広い玄関に、彼の草履だけが行儀良く並んでいる。






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