Five seconds ー恋が始まる5秒前ー


この空間に似合わない私のサンダルは、そこだけ別世界みたいに主張していて。


彼は靴の類が揃っていないのを嫌うから、私はそれを少し丁寧に脱ぎ散らかす。




後から叱られることは必須だが、それは別にいい。



自分の家みたいに廊下を進む。


外とは違ってひんやりとしていて気持ちがいい。


いつもの書斎にいないと思って探し回ると、彼は縁側に座って水羊羹を食べていた。


やっと見つけた。


チリんと鳴る風鈴に目を細めている姿は綺麗で、格好いいとかいうものとは違って中性的だ。









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