2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- One --**



後ろのほうから聞こえるそんな声も、今のワタシにはどうでもいい言葉。


名前も知らない。
どんな仕事をしているかも知らない。
好きなものも嫌いなものも、何も知らない。


そんな何も知らない男に、ワタシは平手打ちをしたんだ。


少しだけお金に残ったその男の体温だけが、なんだか妙に熱さを残していた。


・:*:・゚'★,。・:*:・゚'☆・:*:・゚'★,


ワタシは終電ギリギリの電車に乗って家まで帰った。


途中のコンビニでビールのつまみを買って、今は殺風景な部屋でテレビを見ながら飲み直している。


明日は引っ越しの日。
あ、もう今日になっているか。


あの人とあの人の奥さんの“いい夫婦の日”も、1時間くらい前に終わった。


でも、あの人から連絡は来ない。日付が変わってしまっても、きっと“いい夫婦の日”は終わっていないんだろう。


ワタシはバッグからケータイを取り出した。


そして数時間前みたいに開いたり閉じたりしてみた。
 

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