2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- One --**
後ろのほうから聞こえるそんな声も、今のワタシにはどうでもいい言葉。
名前も知らない。
どんな仕事をしているかも知らない。
好きなものも嫌いなものも、何も知らない。
そんな何も知らない男に、ワタシは平手打ちをしたんだ。
少しだけお金に残ったその男の体温だけが、なんだか妙に熱さを残していた。
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ワタシは終電ギリギリの電車に乗って家まで帰った。
途中のコンビニでビールのつまみを買って、今は殺風景な部屋でテレビを見ながら飲み直している。
明日は引っ越しの日。
あ、もう今日になっているか。
あの人とあの人の奥さんの“いい夫婦の日”も、1時間くらい前に終わった。
でも、あの人から連絡は来ない。日付が変わってしまっても、きっと“いい夫婦の日”は終わっていないんだろう。
ワタシはバッグからケータイを取り出した。
そして数時間前みたいに開いたり閉じたりしてみた。