2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Five --**



「…………………そうだね……、そうなる……」


あの人も声を絞りだすように、一言一言、ポツンポツンと言った。


――死ぬ……。


あの人もワタシも死ぬ。


沼の精が言っていたことはこれだったのかと、その場に崩れ落ちそうになりながら思った。


「栞、体の調子はどうなんだ?どこか変わったところは?」


――嫌だ……。


よりにもよってなんでクリスマスに、世界中の人が浮かれる日にそんなことを言うの?


「栞、栞にもきちんと検査してもらいたいんだ」


――なんでワタシが……。


今日言わないといけないこと?
明日じゃダメなの?
もっと前じゃダメなの?


ワタシは、持っていたケータイを耳からだらんと下げた。


右手に持ったケータイから、必死に語りかけるあの人の声が聞こえてくる。


こんなに騒がしい街中にいるのにあの人の声だけはっきりと聞こえてくる。


頬に温かいものが伝わり、ワタシはいつの間にか涙を流していたことに気づいた。
 

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