2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Five --**



その電話から何分経ったかは分からない。


でも、そのあと雪から着信があって、8時ちょうどに雪と一緒に店に入ったことは覚えている。


だから雪を待っていた10分の間にあの人から電話があって、雪と合流して店に入ったってことだ。


雪とツリーの下で会ったとき、ワタシは涙を流していたのかな?


……覚えていない。


思い返すと、雪はワタシの顔を見ても何も言わなかったから、どうやらワタシはいつも通りだったみたいだ。


いつ発症するかも分からない爆弾を抱えていることを別にして。


あの人は検査をしたほうがいいって言っていたけど、検査なんてしなくてもワタシには分かる。


沼の精の言葉と、このワタシの体が何よりの証拠だ。


ワタシはHIVウィルスに感染している。


目の前が真っ暗になった。


これは罰だ。
人生を“ゲーム”としてしか生きられないワタシへの、神様からの天罰……。


早かれ遅かれ、人は死ぬ。


それが少し早まっただけ。
 

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