2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Five --**
すごく悔しくて、声しか聞いたことのないあの彼がすごく憎くて。
そして、そう思っている自分が一番、情けなかった。
歩道の木の影で自分の情けなさをこれでもかと痛感していると、目の前を雪ちゃんが走っていった。
雪ちゃんはとても慌てた様子で、そんな俺には気づかなかったみたいだ。
一目散に駈けていく先には、少し不機嫌な様子の小峯栞。
2人が店へ歩きだすのをそっと見送ると、俺は気持ちを切り替えるために長いため息をついた。
――今日はクリスマス。世界中が浮かれる日。別にフラれたわけじゃないんだし、この場は明るい桃原直貴で行きますか!
なんとか気持ちを上向きに持ってきて、俺は2人の小さな後ろ姿を見ながら店へ歩きだした。
それに、今日は大学時代からの親友の黒崎秀(クロサキ シュウ)――通称・ヒデとも合コン以来1ヶ月ぶりに会えるから、それだけでも楽しみだった。
この前雪ちゃんから電話があった訳は、雪ちゃんとヒデがつき合い始めたからだ。