2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Five --**
店に入り、ヒデに一言かけて小峯栞の隣に腰を下ろすと、小峯栞は“何当たり前にワタシの隣に座ってんのよ!”という感じで俺を見た。
――そういう目は今日はやめてくんないかな?
ただでさえ、さっきショックなことがあったばっかりなのに、好きな相手からこういう目を向けられると、俺だって泣きたくなってしまう。
はて?
俺は小峯栞を盗み見た。
さっきの涙はどこへやら。
小峯栞は、俺が知っている小峯栞そのものだった。
ただ少し変なのは、ヒデに言ったこの一言。
「雪をよろしく頼みます」
――どっかで聞いたような……。
あっ!
不倫相手のあの彼が、あのとき俺に言った言葉と同じだ。
だったら疑問が浮かぶ。
ひょっとすると、小峯栞はあの彼がまだ好きで泣いていたんじゃないってこと?
でも、どこも変わった様子のない小峯栞が俺の隣にいる。
ヒデたちの会話を適当に相手しながら、俺はまたあれこれと考えを巡らすことになった。