2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Six --**



年下の男の生意気な命令口調だったけど、それがかえってワタシの涙腺を緩ませた。


下を向いて声を殺して泣くのは、年上の女の意地。


本当は、思いっきり泣きわめいたらどんなに楽か。


だけどそこへ踏み込まないのは、踏み込めないのは、ちっぽけでどうでもいい“年上だから”というプライド。


素直じゃない、かわいくない女だと思ってる?


ムカツク女だと思ってる?


“知るかあんたなんか!”ってワタシの前からいなくなっちゃう?


ワタシを軽蔑する?


ゴメンね……。
ワタシって、こんなろくでもない女なんだよ……。


桃原直貴はそんなワタシを、何も言わずそっと抱きしめてくれた。


本当にプレゼントを扱うみたいにそっとそっと。


気まぐれな猫をつかまえたときみたいに、優しく優しく。


そして、ワタシの泣き顔を見られないように盾になって守ってくれた。


この寒いクリスマスに、ワタシは人の優しさに、桃原直貴の優しさに、怯えながら寄り添った……。
 

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