2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Six --**



「ごめん、もうだいぶ楽になったから。離れていいよ」

「うん」


それからしばらくして、ワタシはやっと泣き止むことができた。


胸を借りて泣くのって、こんなにも温かくて安心するものなんだって初めて知った。


ワタシはいつも不倫の恋しかしてこなかった。


だから胸を借りて泣いたこともなければ、こうしてずっとそばにいてもらったこともない。


それは、ワタシがそうしてって頼んだときもあれば、相手から頼まれたときもある。


“不倫だから”って最初から割り切った考えを持った男の人ばかりだったし、ワタシも割り切っていたからそれは平気だった。


ワタシを離婚してでも大切にしたいと言ってくれたのは、あの人たった1人だけだった。


でもワタシはあの人を信じなかった。だってワタシが求めているものじゃなかったから。


ワタシが求めているのは、不倫の相手に求めているのは“父親”。


家庭を持つ人の温かさや生活を少しだけ覗いてみたかったから。


それだけだから。
 

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