2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Six --**
「今日だけワタシの夢を叶えて」
「夢?」
泣きながらそう言ったワタシに、桃原直貴は不思議そうに聞き返した。
「今日だけ、ワタシのそばにいてくれないかな」
「どういうこと……?」
自分でもみっともないってことくらい、すごくよく分かってる。
桃原直貴を困らせているのもすごくよく分かってる。
でも、本当に今日だけ……。
「男の人に朝までいてもらったことないから」
「なるほど」
「自分で電気つけなきゃならない部屋に帰りたくないから」
「……なるほど」
歯が浮くような恥ずかしいセリフをよく言えたものだと自分でも思う。
でも今日だけは、自分の力じゃどうにもできないくらい真っ暗闇が怖かった。
桃原直貴は2度“なるほど”と言って、ワタシが言った意味を理解してくれた。
「もういいから。大丈夫だから泣くな」
桃原直貴はまた、年下の男の生意気な命令口調でそう言って、ワタシを大きな体ですっぽり包み込んでくれた。