2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Six --**
「笑わないで聞いてくれる?」
ワタシは桃原直貴の胸に顔を押しつけたまま聞いた。
「なに?」
「寝るとき、後ろからギュッてしてほしい」
ライトがこの部屋全体を妖しく照らしている。ワタシは桃原直貴の胸に顔を押しつけている。
顔が見えない条件は完璧に整っているのに、ワタシは自分でも分かるくらい顔が赤くなっているのを必死で隠した。
自分の口から出た言葉が恥ずかしくて、桃原直貴がどう答えるかが怖くて。
でも今日だけは、誰かに……桃原直貴にすがりたかった。
ワタシの中でよく分からない感情が渦巻いて、ワタシは顔を上げられなかった。
「……それが夢なの?」
桃原直貴は聞いた。
ワタシは小さく一度、頷く。
「俺でいいの?」
桃原直貴はもう一度聞いた。
ワタシは深く頷く。
「よし、俺が面倒見てやろう」
顔は見えなかったけど、桃原直貴は照れたような感じでそう言ってくれた。