2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Six --**



でも、やっぱり俺は1人で舞い上がっていたみたいだ。


不倫相手のあの彼に勝った気になっていたんだ。


勝ち負けで争えるような、そんな簡単に勝負がつくものじゃないのに……。


小峯栞があんなに泣いてた理由がもっと別の所にあったなんて、俺には全然分からなかったんだ。


「……ストーカーさん、ワタシを殺してくれない?」


そんな言葉にだって、その裏に隠された真実の言葉だって、俺は気づかなかった。……気づいてやれなかったんだ。


“冗談だ”って小峯栞は言ったけど、それを俺は真に受けちゃいけなかったんだよな……。


――今俺にできることは何だ?


小峯栞は、香水の彼女が言ったことを「気にしてないし」と軽い感じで言った。


俺に気を遣ってか何かは分からないけど、そう言った。


――そんなわけねぇだろ……?


俺は、そんな小峯栞が痛々しくて見ていられなくて、近くにいるだけの俺でもいいから頼ってほしくて、精一杯の言葉を投げた。
 

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