2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Six --**



「今日は帰りたくない」


――えっ!


「じゃあ、カラオケでも行く?」


その言葉の意味が分からない男がいたらバカだ。


でも俺は負けない。
やけくそになってるだけだ、そう言い聞かせてカラオケに誘った。


でも、小峯栞は「NO」と首を振った。


「……じゃあ、朝までどっか遊びに行く?ゲーセンとか」


また「NO」。


――一体俺にどうしてほしいんだよ。


頭から振り払おうとしても、さっきの言葉がエコーを効かせてどんどん入ってくる。


「……ホテル。ラブホ行こ」


――とうとう言ってしまったか、その一言を……。


「おい」と声をかけたけど、小峯栞は俺を無視して腕を引いてズンズン歩いていく。


手を振りほどこうと思えば力のある俺のほうに分がある。


今歩くのを止めてちゃんと説得すれば、小峯栞だって分かってくれるかもしれない。


でも俺は、情けない格好で小峯栞のあとを歩くことしかできなかった。
 

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