2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side One --**
「ちょっとぉ〜、モモハラくぅ〜ん、なにしてるのよぉ」
席替えで俺の隣に来たのは香水の臭いがキツい女だった。
その人が今、俺の左腕にデカい胸を押しつけながら甘い声でちょっかいを出している。
――あえて言わないでおこう。俺は“モモハラ”じゃない。“トウバル”だ。
「ん?別に何も?ただ酒飲んでただけだけど」
その人の香水に、だいぶ息苦しさを感じながら俺は言った。
――あえてこう変換しようか。この香水は“匂い”じゃなくて“臭い”だ。
酒の味も料理の味も、彼女の香水の味になっている。
しかも爪は派手に色を塗っているし長すぎる。化粧も髪の色も俺には気に入らない。
「あ〜ん、あたしにもそのお酒飲ませてよぉ」
おまけに、こういう媚(コ)びるというか誘うというか、そんな声も気に入らない。
世の中の男が全部こういう女が好きだとは思わないでほしい。
――あえて主張しておこう。俺は“ナチュラル”が好きだ。