2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Seven --**
次の日の朝、何も言わず栞とホテルの前で別れた。俺は何度か振り返ったけど、栞は一度も振り向いてくれなかった。
家に帰ると、案の定母さんが何も連絡を入れなかったことをガミガミ怒った。
母さんには心配をかけたのは悪かったと思ってる。
だけど栞を放ってなんておけなかったんだよ、俺にはさ。
今までは母さんを一番に考えてきたけど、今度からは栞を一番に考えたいんだ。
栞はちゃんと朝飯食ったかな?
ちゃんと仕事に行けたかな?
ちゃんと立ち直れたかな?
俺の頭は栞のことでいっぱいになっていた。
年末の引っ越し屋の仕事はそれほど多くなく、社内の大掃除や忘年会などで時間は過ぎていった。
その間も考えるのは栞のことだらけで、事務の吉田さんに「落ちたのね」なんて意味ありげなことを言われたりもした。
そのとき俺は、はっきり「落ちました」って自信を持って言えたんだ。
そしたら吉田さんはニッコリ笑って「よかったわね」って言ってくれた。