2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Seven --**
10時半を少し過ぎた頃、神社に集まる一方の人だかりを抜けて栞がやって来た。
遠くからでも分かるくらい、栞の姿だけはっきりと俺の目に映って見えた。
俺に気づいて早歩きになる栞。
その姿が愛しい。
「雪とヒデは?」
俺の前で止まると栞は聞いた。
「先に中入ってるって。今までここにいたんだけど、寒いからって温かいもの食いに行ったよ」
――バッチリ!いい具合に嘘がつけた!
「そう。ゲホッ、ゲホッ……」
「カゼひいてんの?」
栞は“そう”と言ったあと、少し苦しそうに咳をした。
「あー、平気。寒いとこ歩いてきたから水分足りなくて」
「ならいいけど。あっ、なんか買いに行く?甘酒とか蕎麦とか売ってるらしいし」
俺は中を指差しながら提案した。
「うーん、人多いとこダメ。イライラするから」
栞は少し考えてからそう言った。
「じゃあ、何で来たのさ」
「雪がしつこく誘うから」