2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eight --**
ワタシの病気をどこかへ引っ越してくれないかな、なんて甘いことばかり考えている自分がいる。
「ここから歩いて行ってもけっこう近いんだよ、俺の見せたい木」
直貴はチラッとワタシを見て、少し笑った。
「そうなんだ」
「うん」
2人で歩くこと約5分。
それから会話らしい会話はなかった。
人ごみから離れるにつれ、ワタシたちの足音だけが乾いたコンクリートを響かせる。
吐く息は真っ白く、ポツポツと頼りなく降る雪が、地面に落ちる前に息で小さな水になっていく。
「寒くない?あそこにコンビニあるからお茶とか肉まんでも買おうか?」
コンビニの煌々(コウコウ)と輝く光を目に感じたとき、直貴がワタシに話しかけた。
「そうだね。なんか温かいものでも買いたい」
「じゃあ、行こう」
そうしてワタシたちは、年末のガランとしたコンビニに入ることになった。
コンビニの店員は、お茶を買おうとしたとき、ものすごくかったるそうにレジを打った。