2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eight --**
ワタシはお茶だけ、直貴は缶コーヒーと肉まんを1つ買った。
コンビニの店員も直貴もワタシの病気を知らないと思うと、この世界に取り残された気分になって少し泣きそうになった。
「あともうちょいで着くから」
「うん」
コンビニを出たときにそんな会話をしてからまた5分。
神社から正味15分くらい歩いたところで、ワタシたちは川原の開けた場所に着いた。
「どう?いい場所だと思わない?ここに1本桜があるんだけど、それが俺の見せたい木だったんだ」
直貴はそう言って、ワタシに笑いかけた。
「……知らなかった」
ほどよい幅の川向こうには家や建物の明かりがちらほらと見える。
こちら側には街灯の明かりが規則正しく何本も並んでいる。
そして、目の前には立派な桜の木が1本、堂々と立っている。
葉は落ちているから桜の木かどうかは分からないけど、直貴が桜と言うんなら桜なんだと納得ができた。
それはそれは、幻想的な場所だった。