2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eight --**



「おっ!今日は素直じゃん」


そう言って、直貴はアハハとうれしそうに笑った。


「き……、今日で今年も終わりだしさ、少しくらいは、ね……」


何を言っているんだろう、ワタシは。間違いなく直貴の笑顔に舞い上がってしまっている。


「ふ〜ん、なるほど〜」


直貴はワタシを品定めするかのようにワタシの顔をじっくり見る。


「もういいから!下まで行くんじゃないの?早く下りようよ」


その視線に耐えきれなくて、ワタシは直貴を振り切って先に土手を下りていった。


直貴は焦るワタシをおもしろそうに眺めながら、あとをゆっくり下りてくる。


――なんだろう、この感覚……。


ワタシができなかった“青春”?
学生の頃に好きな人としてみたかったことかな?


そういう普通の幸せはワタシにはなかったから、24歳にして感じられるとは思わなかった。


直貴のおかげで、少しだけそういう幸せを覗いてみることができたよ。


……ありがとう。
 

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