2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eight --**
土手の下まで行くと、桜の木のそばには2人がけほどの小さなベンチが1つあった。
上から見たときは暗くて見えなかったけど、ほかにも少し離れたところにポツポツと何個かあるみたいだった。
ワタシは木に一番近いベンチに座り、さっきコンビニで買ったお茶を飲む。
直貴は木の根元まで行って、そこにしゃがんで何かをしている。
「ねえ!『花咲かじいさん』の話知ってるでしょ?」
直貴は立ち上がってふいにワタシに聞いた。
「あ〜、昔ばなしの」
詳しい内容がパッと浮かんでこなかったワタシは、直貴に聞かれて記憶をたどりはじめる。
「そう。優しくて働き者のじいさま・ばあさまと、隣の怠け者のじいさま・ばあさまの話」
直貴は木に寄りかかりながらワタシに語りかける。
「確かそうだったよね」
「うん。白い子犬に“しろ”と名付けてかわいがって育てた優しくて働き者の夫婦は、ある時しろに連れられて行った山で大判小判を掘り当てた」
「ここ掘れ、ワンワンってね」