2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eight --**
「そう。それを聞きつけた隣の怠け者の夫婦は、無理やりしろを連れて山に入った」
「でも、掘り当てたのは蛙やムカデ。宝じゃなかった」
「その通り。それで、怒った怠け者の夫婦はしろを殺して穴に埋め、その上に木を立てた。それを聞きつけた優しくて働き者の夫婦は、泣きながらしろが埋まっている木まで行った」
「うん。……そのあとはあんまりよく覚えてない」
直貴があまりにも雄弁に語るのでワタシは話の内容を思い出すより、直貴の話を聞いていたいと思った。
「そう?じゃあ手短に話すけど、しろの形見のその木で優しくて働き者の夫婦が臼を作るんだけど、その臼からはまた宝が出た。それを聞きつけた怠け者の夫婦は臼を借りて米をついたんだけど、出てきたのは牛や馬のフン。その夫婦は臼を燃やしてしまった」
「うん」
「その臼の灰を優しくて働き者の夫婦が家へ持ち帰ろうとしたとき、サーっと風が吹いて灰を巻き上げた。灰は枯れ木にかかり、花が咲いた」
「うん」
「そこへ殿様が通りかかり、感動した殿様は褒美をやった」