2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eight --**
「今思い返せばおかしなとこなんていっぱいあったのに、その時の俺は自分のことで精一杯だった。だからさ、今度はそんなことにはしたくないんだよ」
――ワタシのこと、言ってるの?直貴……。
「合コンのときも、たぶん今だって、栞は弟と同じ目をしてる。これ以上大事な人を失いたくない。弟と約束したんだよ、絶対死なせないって……」
「……」
直貴の言葉がまたワタシの涙腺を緩ませる。
ワタシは直貴を見つめて泣いていた。
「……引っ越し屋さんになったのは弟さんのため?」
ワタシは涙を流しながら聞いた。
「……弟の夢、叶えてやりたくてさ……」
涙でよく顔は見えないけど、なんだか直貴も泣いているようだった。
ワタシは無意識にベンチから立ち上がり、直貴に向かって歩きながら言った。
「バカだよ、引っ越し屋さんは。……ワタシは死なないよ。まだ、当分は死なないから……」
精一杯のワタシの嘘。
こんな告白、一生に一度あるかないかだよ……。