2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eight --**



直貴の前まで行き、よく顔が見える位置になったとき、やっぱり直貴は泣いていた。


こういう自分の重い部分、できればむやみに人に話したくない部分を話すのには、相当の覚悟と怖さがある。


ワタシのそんな部分は、まだ誰にも話せていない。


大事に思っている人には、逆に話せなかったりもするんじゃないかと思う。


でもそれを直貴はワタシに話してくれた。これがどんな意味を持っているか、ワタシには痛いくらい分かる。


直貴、あなたは“好き”を通り越してるってこと、分かってる?


こういうのって、何て言うか知ってるの?


でもワタシは……。
そこへは踏み込めない。
踏み込んじゃいけない。


「“好きだ”……って言ってもいい?」


直貴はワタシの目をじっと見つめて聞く。


「ダメ。もう何度も聞いた」


ワタシは直貴から目をそらして、遠くの川向こうの明かりを見た。


「……」


直貴は何も言わない。


「ごめん……、重すぎる」
 

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