2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eight --**



ワタシの渾身の嘘。


「ワタシには重すぎる……」


そんなこと、これっぽっちも思ってない。


だけど、ワタシは死ぬ。
これ以上、直貴に辛い思いはさせたくない。


分かって、直貴……。


『ピピピピー、ピピピピー』


その時、ワタシのケータイのアラームが鳴り響いた。


午前0時にセットしたアラーム。年が明けて、新しい1年がたった今、産声を上げた。


ワタシはこの年の終わりまで生きられないかもしれない。


そう思ったワタシは、最期の1年のカウントダウンのつもりでアラームをセットしていた。


「……」

「……」


アラームが鳴り止んでも、ワタシと直貴は言葉も発さず動かなかった。


ワタシは息を大きく吸い込んで最後の一言を言う。


「魔法はとけたよ、引っ越し屋さん。だからバイバイ」


精一杯の作り笑顔でワタシは直貴に言った。


そしてワタシは、直貴から離れていった。


ごめんね。
うれしかったよ。
 

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