2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eight --**
「魔法はとけたよ、引っ越し屋さん。だからバイバイ」
――なんで?どうして……?
俺の目の前から栞が消えていく。その言葉でここから根が張ったみたいに動けなくなった俺は、栞を追いかけることができなかった。
栞に俺の覚悟を見せたい。
そう思って、家族以外の人は連れてきたことがない場所へ来たというのに……。
年が明けた瞬間、栞はシンデレラのように俺の前から姿を消してしまった。
たった今まで、弟の話に涙を流してくれてたじゃないか。
たった今まで、涙目で俺を見てくれてたじゃないか。
なんで?
なんで……?
――俺、栞の気に障るようなこと言った?
さっきの土手で照れた俺を見てあんなに笑ってたのに……。
あの笑顔も嘘か?
今までのは演技だったのか?
教えてくれよ、栞。
俺、バカだからさ、何が何だか分かんねぇんだよ……。
ダメなとこがあるなら直すから。だから“魔法がとけた”って言うなよ。