2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eight --**
それからどうやってその場を離れたのか……分からない。
気がつけば、俺は自分の部屋のベッドに寝ていた。
枕元にはケータイ。
もしかしたら栞から“嘘でした”なんていう初めてのメールが来るかもしれない。
何を期待してたんだろう、俺は。俺の気持ちは、あの川のように流されたというのに。
自惚れにも程があるってもんだ、栞が俺を好き……そんなことなかったんだ。
ノミほども思ってくれてなかったんだ。
チュンチュンとスズメが朝を報(シラ)せている。
きつく閉めたはずのカーテンの隙間から差し込む光が朝を報せている。
1月1日・元旦。
何も変わることのない世間は、新しい年の幕開けを祝福するかのように歌声が響いていた。
「……あぁぁぁー……」
俺は声にならない声を上げる。
しかしそれは、誰も聞いてはくれない。
俺のちっぽけな声なんて今日は不要だと言っているように聞こえてならない。
俺はまた、涙を流す。