2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side One --**
――足、速っ。
すぐに追いかけて外に出たのに、どこにも小峯栞の姿はなかった。
――1分だって経ってないだろうが。
そう。
本当に1分も経っていない。俺は通りの端から端まで見渡した。でも小峯栞の姿はない。
“教師の勘”の他に、俺には“野性の勘”もある。だいたいの場合において、それは当たる。
俺は勘で右に進路をとった。
小走りに通り過ぎる人や追い越す人の顔を確認して、70〜80メートルくらい探した。
店を出るときに小峯栞が腕にかけていたコートの色は白。すぐに見つけられるはずだった。
だけど、俺が来た方向には白いコートを着た女性はいなかった。珍しく“野性の勘”がハズレてしまった。
だってそうだろう。
1分以内で人が歩ける距離、しかもこの寒い夜にコートを羽織らないわけはない。
コートを羽織る時間を差し引いても、そんなに遠くには行けない。
それに俺は背も高いし目もいい。これ以上こっち側を探しても時間のムダだった。