2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eight --**



こんなにも止められない涙は、弟が死んだとき以来かもしれない。


弟が死んでから2回目の年明け。俺の覚悟は、波にさらわれた砂の城のようにあとかたもなく消え去った。


『ブー、ブー、ブー……』


もう少しだけこの何とも言えない気持ちに浸っていたいと思っていたとき、ケータイが鳴った。


「……はい」


一瞬だけ栞からかもしれないと思った俺は、迷わず通話ボタンを押した。


「よぉ直貴!あけおめ〜!モーニングコールしてみたけど目覚めはど?最高?」


高いテンションで電話をかけてきたのはヒデだった。


電話の奥で、たぶん雪ちゃんだと思われる女性のクスクスという笑い声が聞こえた。


「さ……、最高〜」


俺は力なくヒデに返事をした。
ヒデの声を聞いたとたん、今までチョロチョロだった涙がブワッと溢れてきた。


「直貴?……どした?」


俺があまりにも情けない声を出すもんだから、ヒデはすぐ俺の異変に気がついたみたいだった。
 

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