2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eight --**



ヒデはすごい剣幕で怒った。
でも俺は、ヒデとは目を合わせなかった。


「……だから樹紀(タツキ)だって死んだんじゃねぇの?」


ヒデはそう捨てゼリフをはいて、ドカドカと部屋から出ていった。


何秒後かには荒々しく玄関を開ける音がして、ヒデは家からも出ていった。


「……樹紀のことは今関係ねぇだろが……」


俺は泣きながらぎっちり握った両手の拳で何度も思いっきり太ももを殴った。





樹紀は俺の死んだ弟の名前だ。
遺書もなければ高校でイジメられてたという訳でもなかった。


今でも、なんで樹紀が死んだのか家族全員が分からないままだ。


それでも、母さんも父ちゃんも俺もなんとか立ち直って、今では普通に笑っていられるようにまでなった。


それを今頃蒸し返すなんて……。
ヒデが何を言いたいのか、俺にはさっぱり分からない。


ヒデの言おうとしている意味も意図も分からない。


もう、栞のことは考えたくない。どうでもいい。
 

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