2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Nine --**



自分でも自分が取った行動の意味すら分からない。


――重症だ……。


直貴を残してあの川原から帰るとき、ワタシはそんなことを考えていた。


あのあと、直貴は泣いた?
ちゃんと家に帰れた?
ちゃんと寝れた?
ご飯は食べれる?
カゼ、ひかなかった?


部屋に帰ってからも思うのは、直貴のことばかり。


自分で魔法をといたくせに、ワタシだけまだ魔法の世界にいるみたいな感覚だった。


――直貴の魔法はワタシがといておいたからね……。


深夜の空気が顔にピリピリと痛く刺さったあの日。


年が明けた瞬間、ワタシはワタシの道を進み、直貴は直貴の道を進むことになった。


雪やヒデにも、これから直貴と同じことをするつもり。


いつまでもワタシのそばには置いておけない、高価な宝物だから。


直貴だってそう。
ワタシにはもったいないくらいの大事な大事な宝物だから。


分かってほしいとは口が裂けても言えないけど、せめて早く忘れてほしい。
 

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