2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side One --**
俺は今度は反対に進路をとった。今までいた店の前を通り過ぎ、白いコートを探した。
酒が入っていたこともあって、走っているうちに体中が熱くなっていた。
こんな寒い日に薄着で通りを走る男。自分でもダサいと思う。
しかも、なんでこんなに必死になっているんだろう。
たかが合コンの席でたまたま一緒になっただけの女に、ここまですることは果たしてあるのか。
俺は、走っているうちに冷静になっていた。でも、ここまで来たらやるしかないじゃないか。
俺は白いコートを探す。
白いコートを着た小峯栞を探す。
店の前を過ぎてから200〜250メートルくらい走ったところだったと思う。
白いコートを見つけた。
その白いコートは、ひゅるひゅると人の間を通り抜けて少しずつ小さくなっていく。
その白いコートの周りだけ、なんだか風が吹き抜けているみたいに見えた。
俺は走りながら白いコートに声をかけた。
「待ちなって!」