2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nine --**
『ドン、ドン、ドン、ドンッ!』
「栞ちゃん?栞ちゃん?」
ノートにそう書き終えたところでタイミングがいいのか悪いのか、ワタシの部屋のドアをドンドン叩く音がした。
雪がワタシの名前を呼んでいる。よっぽど居留守を使おうと思ったけど、ワタシはドアを開けることにした。
ノートは雪に見つからないように枕の下に隠すことにした。
「今開けるから」
ワタシはドアの向こうの雪にそう声をかけ、ノートを急いで片付けた。
ギーッ……。
「雪、おはよう。よくここが分かったね。まぁいいから入って」
ドアを開けたときの雪の顔は、ワタシに会いに来たはいいけど何といったらいいか分からないといった顔だった。
「……ねぇ栞ちゃん、……どうしてなの?」
雪の第一声はそれだった。
「いいから入って?話は中で」
ワタシは玄関先につっ立ったままの雪の背中に手を当てて、部屋の中へ招き入れた。
雪は恐る恐るといった感じで部屋の中へ入った。