2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nine --**
「コーヒーにする?紅茶にする?お茶もあるけど」
適当に雪を座らせて、ワタシは狭いキッチンで気持ちの整理をしながらお茶の準備を始めた。
「……あ、じゃあ、コーヒー」
雪はワタシのあっけらかんとした様子に驚いたようで、片言の日本語のようにそう言った。
「分かった」
ワタシはヤカンを火にかけ、カップや砂糖を用意する。
少しでも手が止まればワタシはまた泣いてしまいそうだったから、テキパキと動いた。
「……栞ちゃん、ここに来る前に桃原さんの家に行ってきたの、ヒデくんと」
雪はポツポツと話しはじめた。
「……そう」
雪がここへ来た理由は明白。
昨日、直貴と何があったのかを聞きに来たんだ。
「桃原さん、カゼひいてるみたいだったよ。あんまり動けないみたいでさ……」
「……そう」
「栞ちゃんの部屋と桃原さんの家って、歩いて5分くらいの近所だったんだね。あたし知らなかったよ」
「そう。それはワタシも知らなかったな」