2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nine --**
いつの間に時間が経ったのか、ヤカンの口からは蒸気が勢いよく吹き出していて、ピューピューとうるさいくらいに鳴っていた。
ワタシは火を止めてカップにお湯を注ぐ。ほんの数十秒でコーヒーが2人分できた。
ワタシはこぼさないようにカップを持って雪が座るテーブルの前に持っていった。
その間また会話は途切れていた。
「雪、お待たせ」
「あ、ありがとう」
「ううん」
雪にカップを渡し、ワタシは近くのベッドに足を組んで座った。
雪があのノートを見つけるわけはないと思うけど、人の防衛本能か何かのようにそこへ座らずにはいられなかった。
「……栞ちゃん」
「なに?」
「栞ちゃんの性格ってあまのじゃくだよね?」
「そうだけど」
ワタシはフーフーとコーヒーを冷ましながら答えた。
「今のも嘘だってこと、ある?」
雪はカップを机に置いて、真剣な目でワタシを見ている。
「……」
――嘘じゃないって言わなきゃ。