2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Nine --**



雪にもヒデにも、もちろん直貴にも、心の底から悪いと思ってる。


だけどみんなとワタシとは、どう考えたって住む世界が違うんだ。


みんなは崖の上の安全な道を、ワタシは崖の下の暗い道をそれぞれ進む。


あの人も落ちた崖の下へ、ワタシも落ちた。


そこであの人が待っていてくれるかどうかは分からないけど、それでも今一番確かなことは、世界が違うってことだよ。


正月休みが終わったらあの人へ会いに行こう。


ワタシはそう思った。


どうして感染なんかしたのか、ワタシにだって聞く権利くらいあるだろう。


あの人のこともあの人の奥さんのことも心配だったから、ワタシはそうすることにした。


別にまだあの人に気持ちがあるわけじゃない。だってワタシが本気で好きなのは直貴だけ。


その気持ちと決別するためにも、ワタシはあの人に会いに行かなくちゃいけない。


ワタシはこの日、何時間もケータイとにらめっこをしながらなんとかあの人へ電話をかけて、5日に会う約束をした。
 

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