2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nine --**
だいぶひどいカゼにかかったらしく、俺はほとんどベッドから出られなかった。
そのプーさんのぬいぐるみも、部屋の隅っこの少し暗いところに置かれていたから細部まで詳しく見たわけじゃなかった。
だから俺は、雪ちゃんの行動の本当の意味なんて全然知らなかったんだ。
三が日も終わり、明日からまた仕事が始まるといった日の夜のことだった。
だいぶ体調が戻った俺は、前から気になっていた“やる気なさげなプーさんの座り方”を直そうと、あれこれ試していた。
それでも、年季が入ったプーさんかどうかは知らないけど、いくら直してもクタッとやる気がない格好で落ち着いてしまう。
その格好を見ているうちに、俺はなんだか無性に腹が立って、何の罪もないプーさんに八つ当たりしてしまった。
別にちゃんと座っていなくてもそれはそれで愛敬(アイキョウ)があるけど、なんだか妙に気に入らなかった。
気持ちの問題だと言われればそれまでのことなんだけど、俺は気に入らなかったんだ。