2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nine --**
そして、電話の向こうの雪ちゃんは、少し深く息を吸い込んで次の言葉を話しはじめた。
「……ヒデくんから聞いたんですけど、栞ちゃんが不倫してたこと知ってたそうですね」
「うん。電話で話したこともあるよ」
そしてまた、雪ちゃんは緊張した様子で息を吸い込んでから話す。
「その不倫相手の人、栞ちゃんと同じ職場の人だったんですけど、派遣の契約が切れて栞ちゃんが会社を辞めたあとから会社を休んでて……」
「そう」
――今さらあの彼の話は聞きたくない……。
俺は、まだあの彼の影が栞の周りをうろちょろしているのが気に入らなかった。
栞のことを考えないようにしても結局考えてしまうし、俺が栞を好きでいるかぎりはあの彼が亡霊のように浮かんできてしまう。
本当に、こんなに苦しい恋は初めてだった。
それでもこうして雪ちゃんに電話をかけているってことは、俺は今でも栞が好きだっていうことにつながる。
頭と心がちぐはぐだらけだ。