2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Nine --**



俺の心なんて知る由(ヨシ)もない雪ちゃんは、さらに次の言葉を話しはじめた。


「はい。詳しいことは分かりませんが、噂では入院したとか何とかで……。もしかしたらその入院が栞ちゃんと関係あるんじゃないかと思ってるんです」

「え……、どういうこと?」


俺は今までのモヤモヤが一瞬にして吹っ飛んだ。


――彼が入院?その入院と栞が関係してる……?


そんなドラマのお決まりのパターンみたいなことが現実にあるのだろうか。


俺の脳裏には、今までの栞の行動や言動がスライドショーのようにパッパッと切り替わっていく。


「あくまで噂の段階なので確証はありませんが、ちらっと聞いた話では、その彼は治らない病気なんじゃないかって……」

「……ガン……とか?」


治らない病気の代表格は“ガン”なんじゃないだろうか。


俺の頭の中には、もう“ガン”という言葉だけしか浮かんでこなかった。


「……いえ、違うと思います」

「違う……?」
 

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