2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nine --**
俺は半ば強引に電話を切ったあと急いで栞の部屋へ向かった。
母さんと父さんは血相を変えて飛び出していく俺に何か声をかけていたけど、俺の耳には何も入らなかった。
歩いて5分、走れば2分くらいで着く栞の部屋までの距離が長い。
いくら走っても、同じところをただ跳ねているみたいに一向に進んでくれない。
やっとの思いで栞の部屋の前まで行ったけど、部屋の電気は消えていた。
息を切らしながら持っていたケータイで時刻を確認すると、もう11時を回っていた。もう寝てもいい時間帯だった。
――チクショウ!もう少し早くメモに気づけば……!
俺はだんだん収まってきた息の切れをゴクリと飲み込んで、小さな駐車場から部屋を見上げた。
でも……。
見上げるだけで足が竦(スク)んで動けなかった。
人が思いもよらないショックを受けたとき、何かをポロっと落としたり目が泳いだりする。
俺の場合は、どうやら動けなくなるみたいだ。