2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Nine --**
雪ちゃんに啖呵(タンカ)を切ってここまで来たくせに、俺は何もできなかった。
自分のこの大事なときに勇気が出ないという情けなさが本当に嫌になる。
俺は何もできないまま、とぼとぼと家路についた。
雪ちゃんの言ったことがどこまで本当なのか。
雪ちゃんや俺の取り越し苦労だといいんだけど……。
でも、何でもないと思いたいのと反面、俺の思考は宇宙のブラックホールに吸い込まれるように暗く深く果てしなくグルグル不吉に回るんだ。
まただ……。
樹紀のときみたいに、あとからいろんなことに気づく。
栞のことをこの先ずっと守っていきたいと思っていたのに、俺はまた栞の表面の部分しか見ていなかったんだ。
クリスマスのときから様子がおかしかったと雪ちゃんは言った。
俺なんかより、雪ちゃんやヒデのほうが栞のことを分かっていた。
俺はもう、栞を好きでいる資格なんてないのかもしれない……。
この日、俺は朝まで一睡もできなかった。