2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Ten --**
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ワタシの正月休みはこれで最後かもしれない。
そう思うと何か記念に残るようなことをしたいと考えたけど、結局何もしないで過ごした。
セミやヘビの脱け殻のようにワタシの精神は体から脱皮して、あちらこちらに飛んでいた。
ある時は雪のそばへ。
ある時はヒデへ。
一番長くいたのは、やっぱり直貴のそばだった。
ワタシの妄想の中では、ワタシはどこも悪くなくて、素直でよく笑って、直貴や雪たちといつも一緒にいた。
でも精神が体に戻ってくると、ふいに涙がこぼれてしかたがなかった。
ふわふわとした世界の中へ行ったり来たりの毎日でも、病気は確実に着実にワタシの命をカウントダウンしていった。
4日は仕事始めだったこともあって、やった仕事の内容はほとんど覚えてないけど会社へ行った。
なぜか会社中がワタシの噂をしているように見えた。
そして、運命の5日。
ワタシは意を決してあの人が入院している病院へ来ている。
ワタシが通っている病院とは違う病院だった。