2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Ten --**



ワタシは、緊張や怒り、心配や嫌悪感……いろんな感情がごちゃ混ぜになった悪い魔女が作るドロドロの薬のような気持ちで病室への廊下を歩いている。


棒のように動かしにくい両足をなんとか動かして、1歩1歩進んでいる。


あの人の病室の前まで来たとき、ワタシは何度も深呼吸をした。


そしてカッと目を見開いて最後の覚悟を決め、勢いよくドアをあけた。


『ガラガラッ……!』


その音に気づくあの人。


ワタシは何も言わず、カツカツとブーツの踵(カカト)を鳴らしてあの人のベッドの脇まで行った。


「……」

「……」


あの人もワタシも、見つめ合ったまま何秒か固まった。


「……座りたいんだけど」

「あ、ああ、どうぞ……」


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