2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Ten --**
「……そうだよ」
――やっぱり。
ワタシの予想はものの見事に的中した。的中率100%だ。
あの人の性格や気質のことだけに絞って言えば、1ヶ月も出張すれば女を欲しないわけはない。
どうせ女と安い金で寝たんだろうと想像はついていたけど、想像とあの人の口から直接聞くのとではやっぱり違った。
「そこで感染したのね」
「……」
ワタシは、崩れ落ちそうになるのをなんとか踏ん張って冷たく言った。
あの人は“そうだ”と言うようにただ首を1回だけ小さく縦に振った。
「分かったわ。もう用は済んだから帰る」
ワタシは感染の経緯を教えてもらえればそれでよかった。
だからワタシはスッと椅子から立ち上がって帰ろうとした。
「待ってくれ。渡したいものがあるんだ」
すると、あの人はワタシを呼び止めた。
――渡したいもの……?
これ以上あの人から何をもらえばいいというのだろう。
病気だけで十分だ。