2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Ten --**



その言葉で、ワタシはまた浮きかけた腰を椅子に戻さなければいけなくなった。


ワタシはあの人から目線をそらして、眉間にシワを寄せて“渡したいもの”とやらを待つ。


あの人の様子は伺い知れないけどゴソゴソと動いて何かを出しているようだった。


「これ。僕の通帳と印鑑と、それからカード」


ワタシの前に出されたそれは、あの人名義の銀行のものだった。


「……どういうつもり?」


ワタシは受け取らずに聞いた。


「この前、離婚したんだよ、僕。だからこれは君に渡したい」


あの人はそう言って、なおもワタシに通帳一式を差し出す。


――全く意味が飲み込めない。


離婚しそうだとは聞いていたけどこんな時期にできるもの?


離婚したからワタシに通帳を渡すその意味は?


ワタシに結婚しろとでも言ってるの?


通帳の意味も、離婚の意味も、あの人が考えていること全部が意味不明だった。


「だからどういうつもりなのって聞いてるの」
 

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