2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Ten --**
ワタシは語気を強めて、きつくあの人の目を見て聞いた。
ワタシを見つめるあの人の目は、不思議と穏やかだった。
「別れた妻との間に子どもはできなかった。それだけが原因ではないけど、僕も妻ももうとっくに関係は壊れてたんだよ」
あの人は穏やかな口調で語りはじめた。
「子どもがいればまだましだったのかもしれないけど、でも結局は離婚していたと思う」
「……」
ワタシはこんなに穏やかに話すあの人を見たことがなかった。
早くここから立ち去りたい気持ちと、まだしばらくいたい気持ちが混ざりあって、ワタシは動けなかった。
「僕はね、妻との結婚生活で君と同じ種類の孤独を知ったんだ。君とつき合いはじめたのだって、最初は同じ孤独を分かち合いたい、そう思ったからだよ」
「……ワタシと一緒にしないで。分かったふうな口きかないで。ワタシとあなたは違う!」
ワタシは、気づけば大きな声で反論していた。
ワタシのことは、普通に生きてきた人には分かりっこない。