2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Ten --**
「厳密に言うと違うかもしれないけど、感じた孤独は一緒だと思っているよ。少なくとも僕は」
あの人は、ワタシの精一杯の威嚇にひるむことなく穏やかに話す。
そして話が長くなると感じたのか通帳を差し出す腕を一旦下げた。
――どこが一緒だと言うの?
ワタシは、久々のマグマが体の奥でブツブツと嫌な音を立てながら静かに沸騰するのを感じた。
「ある時から僕と妻は同じ家に住んでいても滅多に顔を合わせなくなった。僕が仕事ばかりしていたり不倫の噂を聞いたせいで、妻は何もしなくなった」
「……」
ワタシはマグマの噴火を一生懸命抑えながら聞く。
「その不倫は君とじゃない。本当に噂だったんだ。だけど妻は僕より噂を信じて、いくら話し合いを持ちたいと言っても聞く耳を持ってくれなかった」
「……」
「そのうち掃除も洗濯も食事も、妻は自分の分しかしなくなった。同じ家に住んでいながら、僕たち夫婦は他人同然になった」
「……」
ワタシはマグマの噴火を必死で抑える。