2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Ten --**
「ついでに告白すると、本当は離婚が成立したら君と結婚しようと思って貯めていた金だったけど、僕にはできそうもないから」
あの人はワタシの手を優しく握って言った。
その告白は、ワタシには全部初耳だった。詳しい家庭内の状況も、本気で結婚したいと思ってくれていたことも……。
全部が全然ワタシのためだったんだと聞かされて、ワタシの目からはこらえきれずに涙が溢れた。
「……僕のために泣いてくれてるの?」
あの人はワタシの涙を見て、少し驚いたように聞いた。
ワタシは、うんともすんとも言えなくて、ただあの人の顔を見ていた。
「もしそうならうれしい。僕のために泣いてくれる人は、田舎にいる母さんくらいしかいないと思ってた」
そう言って、ワタシの涙を指で丁寧にぬぐってくれた。
そして、何の前触れもなくハグ。
まだ元気そうに話しているのに、なんだかあの人からはワタシと同じ死の香りがした。
「来てくれてありがとう。うれしかった」