2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- another side Ten --**
「……本当に……すまなかった」
あたしの背中のほうで、泣き声を押し殺しながら謝る長坂さんの声が聞こえる。
あたしはその声にブチ切れて、泣きながら長坂さんに詰め寄った。
「“すまなかった”で済むこととそうじゃないことの区別もつかないんですか、長坂さんは!」
あたしは無我夢中で長坂さんの胸ぐらをつかんで、力の限り引っぱったり押したりと泣き叫んだ。
「栞ちゃんの将来台無しにしやがって!このクソ男!」
顔中、涙なんだか鼻水なんだか分からないくらいグチャグチャにしながら、あたしはさらに長坂に食ってかかった。
もう、部長だとか年上だとか、そんなの関係ない。
ありったけの怒りと悔しさを、ありったけの声と力でぶちまけた。
「栞ちゃんがやっと普通に好きになった人だっているのに!栞ちゃんのこと、本気で大事に想ってくれる人が現われたのに……!」
そこまで言うと、あたしは長坂さんのベッドの脇にヘナヘナと倒れこんだ。