2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- another side Ten --**



あたしは興奮のあまりゼェゼェと全身で息をしていた。


長坂さんは、あたしの言葉にも胸ぐらをつかまれたことにも抵抗すらしなかった。


抵抗されたとしても、あたしはやめるつもりもなかった。


だけど、その全てを背負いこもうとする姿勢や無抵抗な様子が、あたしの神経をさらに逆撫でする。


“ああ、もういいですよ”とふてくされているか投げやりになっているか、そんな態度にしかあたしには見えない。


「……返してよ」


あたしはめいいっぱい低い声で長坂さんに唸る。


「……」


でも長坂さんは、一言もしゃべらない。しゃべろうとしない。


「栞ちゃんの時間を返してよ!」

「……」

「栞ちゃんの未来、返してよ!」

「……」

「元気な栞ちゃんを返してよ!」

「……」


それでも長坂さんは、あたしに何も言葉を返してはこない。


「自分の欲求を満たすために栞ちゃんのこと利用して!長坂さんのものじゃないんだよ……?」
 

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